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サバットとは何か?

1)History −サバットの歴史

 ボクス・フランセーズ・サバット(Boxe Francaise Savate)は、ヨーロッパにある他のキック・ボクシングがそうであるように、古代ギリシャのパンクラチオンに起源を持つ格闘技です。オリンピックの競技種目でもあったパンクラチオンはルールの無い一対一の戦いで、キック・パンチ・投げ・固めを使用するいわゆる総合格闘技でした。競技としてのパンクラチオンが衰退すると、このスタイルはストリート・ファイトの世界で継承されていったのです。

 17世紀フランスのストリート・ファイトには2種類に大別される格闘スタイルがありました。ショーソン・マルセイエーズ(Chausson Marseillais)と呼ばれるキック主体のものと、サバット(Savate)と呼ばれる掌底(開いた手)とローキック(下腿部への蹴り)によるコンビネーションを使用するものです。

 1845年、シャルル・ルクゥ(Charles Lecour)という人が初めて近代サバットのルールを作りました。上記の2種類のスタイルを長年研究した彼が、ボクス・フランセーズ・サバットを確立したのです。彼はショーソンの強力なハイキックとサバットのローキックを組み合わせ、さらにイギリスのボクシングとの交流(対抗戦)のなかで、拳によるパンチ攻撃をも組み入れました。
 1899年にはMaitre Charlemontがこの競技に関する最初の公式文書を著しました。これが現在採用されているサバットのルールの基礎になっています。フェンシングに強く影響された彼は、この競技の様々な要素をサバットに取り入れました。特筆すべきは前方への突きを取り入れた事で、それまでの戦い方に比べて射程範囲が広がりました。

 今世紀に入ってサバットは広く学ばれるようになりました。フランス陸軍で訓練の一環として教えられただけでなく、ベルギー、スイス、イタリア、そしてドイツでスクールが開校しました。1924年のフランス・オリンピックではデモンストレーションも行われました。現在、世界中で多くの男女がサバットを学んでおり、2年毎に世界大会が開かれています。


2)Style/Rules −スタイルとルール

 ボクス・フランセーズ・サバットは前述の通り拳と足を用いた格闘技です。本来サバットには投げと極めの技術やステッキ術(紳士が持つような長いもの)が含まれていましたが、それぞれパリジャン・レスリングとラ・キャンとして独立し、ボクス・フランセーズ・サバット(拳と足による打撃のみ)を一般的にサバットと呼ぶようになりました。

 サバットの特色は靴を履いて戦う事にあります。足首への衝撃を吸収するため、サバット用の靴は足首部分が強化されています。このため足の甲や爪先によるキックを多用できるので(というかサバットの蹴りは脛を使わないようです)、ムエタイ等に比べて広い間合いで戦う事ができます。また相手のキックを片手でさばくために、グローブの手の平の部分が13cmもの厚みを持っています。ちなみにサバットのユニフォームのデザインには決りがないそうで、皆カラフルな、というかド派手なものを着ていて、さすがフランス人、と思わせます。(左写真はサバットのプロ興行から)

 サバットにもランキング・システムがあり、ブルー・グローブから始まってグリーン、レッド、ホワイト、イエロー、そしてシルバーがあり、シルバーはさらに3段階に分けられています。

※以上はイノサントアカデミーのサバットクラスのインストラクターもつとめているNicolas Saignac師のホームページを基にしました。

 JKDは中国拳法(詠春拳)の高度な技術を主体としていますが、足技などにはサバットの技術が取り入れられています。ブルース・リー師祖の研究メモからは、サバットを熱心に研究した様子が伺えます。サバットに熟練すれば、JKDの習得がより確実なものになるでしょう。

訳:藤井英樹(翻訳家) 編:IUMA日本振藩國術館


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