Single Angle Attack

戦術その2であるSingle Angle Attack(=SAA,*3)は、角度を付けて打ち出 す一発の単純攻撃のことです。すなわちSAAとは、ステップワークや上体の振り、腰の動作などによって、SDAに角度を付加した攻撃です。 SDA、つまり単純攻撃という動作にくらべ、さらに相手の存在を意識した場合の動作であるとも言えます。

その特性上、SAAは(相手にとって)意外な角度を付けた攻撃手法であることが要求されます。その「相手に取っての意外性」を生み出す ために、SAAも他の戦術と同様、様々なバリエーションを持っています。

「ジャブやストレートを打って、相手にその残像を残してから角度をつけたストレートで決める」ように、SAAを打ち出す前にSDAでのフェイントをかけ、フットワークやボディ操作で間合いを調節しながらSAAを繰り出すと、相手にヒットしやすくなります。

*3: Simple Angle Attackと呼ぶこともあります.

←Fig.2-1 フック

ブルース・リー師祖はボクシングの研究から、フックなどの技法も積極的に取り入れました。角度とタイミングが合えば、一発で相手を倒すことが出来ます。更に、SAAとして、ここでは左へ体を倒し気味にフックを放つことで通常ラインに角度をつけて意外性を加え、威力を倍加させ、相手の攻撃ラインを避けています。

Fig.2-2 金的へのフックキック→

ビルジーと並び、JKDで多用されることの多い金的蹴りです。相手と自分の位置関係により、もっとも素早く効果的な打撃を与えられるよう、下からすりあげるようにして蹴るのが基本ですが、軸足をサイドにずらせてキックの軌道に角度を持たせたり、腰の返しで上からうち下ろすように蹴る、などの様々なSAAバリエーションがあります。

←Fig.2-3 (オイ)ビルジー

SDAのビルジーと一見同じように見えますが、この場合は体を右に傾けて繰り出すラインに角度をつけ、相手の目に向けてビルジーを放っています。攻撃に用いている手の動きは直線的ですが、全体としては角度のついた攻撃になっているので、これはSAAになります。

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